近代野球で欠かせない役割となっているセットアッパー。
この記事では、セットアッパーの役割とは何か、中継ぎや抑えとの違いや求められる資質や条件について解説していきます。
セットアッパーとは?意味や語源は?
セットアッパーとは中継ぎ投手の中の一つの役割で、リードしている試合終盤の7回や8回に登板する投手のことを指します。
セットアッパーは和製英語
「セットアッパー」は、響きからしていかにもメジャーリーグから輸入した言葉のように見えますが、実は和製英語です。
本場のアメリカでは、単に「セットアップ(Setup)」もしくは「セットアップマン(Setup man)」と言われています。
ちなみに7回担当を「7th-Inning Setup」、8回担当を「8th-Inning Setup」と区別して呼んだりもします。
セットアッパーの語源は?
セットアッパーの語源は、英語の「Setup」の意味「準備する、場を整える」から来ています。
セットアッパーは何の準備をするのかというと、クローザーが登板できる環境を準備します。
つまり、点差を保ったまま7回と8回を投げ切ることが役割ということになるわけです。
語源がそもそもクローザーのための場を準備する役割なので、セットアッパーは目立たない役割と見られています。
セットアッパーに求められる資質や条件は?
セットアッパーは接戦の終盤(7回、8回)をゼロで抑えて、抑えに繋ぐことが役割です。
そんな責任重大な役割を担うセットアッパーに求められる資質や条件はこのようなものが考えられます。
- バッターを確実に抑えることができる実力
- ピンチに強いメンタル
- 連投に耐えられる体力
バッターを確実に抑えることができる実力
まずセットアッパーに必要なのは、「こいつなら確実にバッターを抑えてくれるだろう」と思わせてくれる圧倒的な実力です。
無駄な四球を出さないためにコントロールの良さは前提条件。
圧倒的な球速、もしくは決め球となる変化球があるかどうかが決め手になります。
ピンチに強いメンタル
セットアッパーにはメンタルの強さも必要です。
試合展開によっては、いきなりノーアウト二塁などピンチの場面で登板する可能性も十分にあり得るのがセットアッパーです。
セットアッパーを務めるには、ピンチに動じないメンタルの強さがないと厳しいかもしれません。
連投に耐えられる体力
セットアッパーは、監督から「出せば勝ち確定」という特別なピッチャーとして捉えられています。
いわゆる「勝利の方程式」です。
そのため、セットアッパーはほとんどの接戦で投げることから連投もしばしば。
また、試合では登板しなくても、競った試合ではいつ呼ばれてもいいようにブルペンで肩を作ってスタンバイしています。
これらのことから、セットアッパーにはタフな体であることも要求されます。
セットアッパーと中継ぎ・抑えの違いは?
セットアッパーと中継ぎ・抑えとは明確に定義が異なります。
中継ぎとセットアッパーの違い
中継ぎとはリリーフとも呼ばれ、先発投手以外の全ての役割が中継ぎと定義されます。
- 敗戦処理
- ロングリリーフ
- ワンポイント
- セットアッパー
- 抑え(クローザー)
よって、セットアッパーは中継ぎ投手の中の一つの役割に過ぎないということになります。
抑えとセットアッパーの違い
抑えはクローザーとも呼ばれ、9回を抑えて試合を締めくくる役割です。
英語名”Closer”の名の通り、試合を閉じる役割です。
抑えとセットアッパーの大きな違いは何回を投げるかで、抑えは9回、セットアッパーは7回もしくは8回を投げます。
よく「9回を投げるのは非常にプレッシャーがかかる」とも言われていて、セットアッパーよりも抑えの方が給料が高くなる傾向にあるのも違いの一つです。
2023年のMLBにおける7回、8回担当セットアッパー、クローザーの平均年俸額と最高年俸額の比較表がこちら。
担当 | 平均年俸 | 最高年俸 |
---|---|---|
7回セットアッパー | 193万ドル | 755万ドル |
8回セットアッパー | 252万ドル | 1150万ドル |
クローザー | 558万ドル | 1965万ドル |
投げるのが後ろのイニングであればあるほど年俸が高くなるのが分かります。
【歴代】現役の有名なセットアッパー
現役で有名なセットアッパーを3人紹介します。
平良海馬(西武:現在は先発転向)
2022年のパ・リーグ最多ホールド投手。
最速160キロの剛速球と多彩な変化球を武器に、8回のセットアッパーとして活躍しました。
2023年からは「倍のイニングを投げることでもっとチームに貢献したい」という意図のもと、先発転向を果たしました。
リバン・モイネロ(ソフトバンク)
2020年のパ・リーグ最多ホールド投手。
最速158キロのストレートと、キレキレのスライダー、カーブ、チェンジアップを武器に活躍。
3者連続三振に抑えることがしばしばあり、対戦相手からしてみると出てきたら絶望するセットアッパーです。
清水昇(ヤクルト)
2020年、2021年のセ・リーグ最多ホールド投手で、シーズン50ホールドのNPB歴代記録保持者。
最速151キロのストレートとツーシーム、スライダー、フォークの変化球、加えて圧倒的なコントロールの良さを武器に活躍。
2022年の防御率は1.16、WHIPが0.79と、監督からすると最も安心して見られる投手かもしれません。
【野球】セットアッパーとは?中継ぎとの違いや求められる資質や条件は?【まとめ】
この記事では、セットアッパーの役割とは何か、中継ぎや抑えとの違いや必要条件について解説しました。
セットアッパーとは、リードしている試合終盤の7回や8回に登板する投手のことを指します。
セットアッパーは抑えと比較すると目立たない仕事ですが、非常に重要なポジションです。
野球観戦する時は、7回や8回に登板するセットアッパーにも注目して見てみると良いかもしれません!