クライマックスシリーズができてから、リーグで2位や3位のチームが日本一になることもしばしば。
そういった2位や3位チームがポストシーズンで勝ち抜いていく様のことを「下剋上」と呼びます。
この記事では、クライマックスシリーズで起きた下剋上の歴史について紹介していきます。
【クライマックスシリーズ】下克上で2位や3位から日本一になったチームは?
クライマックスシリーズにおいて、下剋上で2位や3位から日本一になったチームは過去に4チーム存在します。
チーム | 年度 | 順位 | 1位チーム | 1位とのゲーム差 |
---|---|---|---|---|
中日ドラゴンズ | 2007 | 2位 | 巨人 | 1.5 |
千葉ロッテマリーンズ | 2010 | 3位 | ソフトバンク | 2.5 |
福岡ソフトバンクホークス | 2018 | 2位 | 西武 | 6.5 |
福岡ソフトバンクホークス | 2019 | 2位 | 西武 | 2.0 |
基本的には1位と実力差が少ない2位チームが下剋上しやすい
上記4例中、3例が2位からの下剋上。
唯一の3位からの下剋上となった2010年のロッテは3位だったものの、1位とのゲーム差は2.5と実力的には均衡していた年でした。
2位チームの中で、1位とのゲーム差が一番離れていたのは2018年のソフトバンクで6.5ゲーム差です。
【2007年】2位から日本一になった中日の軌跡
2007年の中日は、1位巨人とのゲーム差1.5の2位でレギュラーシーズンが終了。
クライマックスシリーズの制度は2007年から開始しており、いきなりの下剋上となりました。
導入初年度ということもあってルールが発展途上だった時期で、この年はリーグ優勝チームにあらかじめ1勝を付与するアドバンテージがありませんでした。
この中日の下剋上を受けて、2008年からアドバンテージが付与されるようになりました。
ファーストステージの結果
- 3戦2勝先取
- 全試合を2位チームのホームで開催
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(H) | 〇0-7 | 阪神 |
第2戦(H) | 〇3-5 | 阪神 |
ファイナルステージの結果
- 5戦3勝先取
- 全試合をリーグ優勝チームのホームで開催
- 1勝のアドバンテージなし
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(A) | 〇5-2 | 巨人 |
第2戦(A) | 〇7-4 | 巨人 |
第3戦(A) | 〇4-2 | 巨人 |
【2010年】3位から日本一になったロッテの軌跡
2010年のロッテは、1位ソフトバンクとのゲーム差2.5の3位でレギュラーシーズンが終了。
ゲーム差は2.5と実力的には拮抗していたものの、3位からの下剋上はプロ野球の歴史上唯一です。
ファイナルステージで負けたソフトバンクにとっては、シーズン1位ながら日本シリーズに出場できなかったのが直近3度目と屈辱的な年となりました。
ファーストステージの結果
- 3戦2勝先取
- 全試合を2位チームのホームで開催
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(A) | 〇6-5 | 西武 |
第2戦(A) | 〇5-4 | 西武 |
ファイナルステージの結果
- 6戦4勝先取
- 全試合をリーグ優勝チームのホームで開催
- 1勝のアドバンテージあり
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(A) | 〇3-1 | ソフトバンク |
第2戦(A) | ●1-3 | ソフトバンク |
第3戦(A) | ●0-1 | ソフトバンク |
第4戦(A) | 〇4-2 | ソフトバンク |
第5戦(A) | 〇5-2 | ソフトバンク |
第6戦(A) | 〇7-0 | ソフトバンク |
【2018年】2位から日本一になったソフトバンクの軌跡
2018年のソフトバンクは、1位西武とのゲーム差6.5の2位でレギュラーシーズンが終了。
これまでは下剋上される立場だったソフトバンクが、逆に下剋上を決めた初めてのシーズンとなりました。
ファーストステージの結果
- 3戦2勝先取
- 全試合を2位チームのホームで開催
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(H) | 〇3-8 | 日本ハム |
第2戦(H) | ●4-2 | 日本ハム |
第3戦(H) | 〇2-5 | 日本ハム |
ファイナルステージの結果
- 6戦4勝先取
- 全試合をリーグ優勝チームのホームで開催
- 1勝のアドバンテージあり
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(A) | 〇10-4 | 西武 |
第2戦(A) | ●5-13 | 西武 |
第3戦(A) | 〇15-4 | 西武 |
第4戦(A) | 〇8-2 | 西武 |
第5戦(A) | 〇6-5 | 西武 |
【2019年】2位から日本一になったソフトバンクの軌跡
2019年のソフトバンクは、1位西武とのゲーム差2.0の2位でレギュラーシーズンが終了。
2年連続で下剋上を決めたのは、この2019年のソフトバンクが初であり、日本プロ野球で直近最後の下剋上のケースでもあります。
ファーストステージの結果
- 3戦2勝先取
- 全試合を2位チームのホームで開催
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(H) | ●5-3 | 楽天 |
第2戦(H) | 〇4-6 | 楽天 |
第3戦(H) | 〇1-2 | 楽天 |
ファイナルステージの結果
- 6戦4勝先取
- 全試合をリーグ優勝チームのホームで開催
- 1勝のアドバンテージあり
試合 | 結果 | 対戦相手 |
---|---|---|
第1戦(A) | 〇8-4 | 西武 |
第2戦(A) | 〇8-6 | 西武 |
第3戦(A) | 〇7-0 | 西武 |
第4戦(A) | 〇9-3 | 西武 |
【クライマックスシリーズ】いらないと言われる理由が「下剋上」の存在
クライマックスシリーズはしばしば、その存在意義が議論の的となります。
ネット上では「クライマックスシリーズはいらない」とまで言われることもあり、その理由は今回紹介した「下剋上」があり得るからだと考えられます。
下剋上によってリーグ優勝の価値が薄れる
2位や3位のチームがリーグ優勝のチームを差し置いて日本シリーズに出場できるのはおかしいという声があります。
確かにルールの整備が追い付いていなかった初期の段階では不公平感もありました。
とはいえ、パ・リーグのプレーオフ時代の2004年、2005年にホークスが、2007年に巨人が犠牲になったことで、リーグ1位のチームが有利になるようにルールが変更されてきています。
消化試合が減ることで観客や視聴人口の減少を食い止めることができる
クライマックスシリーズの導入は、もはや避けられない状況になってきているのも事実です。
野球以外のエンターテイメントが多数ある現在、野球人気は徐々に衰退。
もはや消化試合のために球場に足を運んだり、テレビ視聴に時間を割いてくれるファン層も少なくなってきているはずです。
その打開策として打ち出されたのがクライマックスシリーズ。
消化試合の減少や一発勝負というエンターテイメント性を打ち出すことで、視聴者を飽きさせない工夫がなされています。
ちなみにメジャーでは1ヶ月間に渡るポストシーズンを戦いますが、ポストシーズンに進出するチームの中の半分はリーグ優勝していないチーム(ワイルドカード)。
あのMLBですらアメフト・バスケ・アイスホッケーといった競合スポーツとの視聴者獲得競争に勝つために色々試行錯誤を繰り返しています。
日本のプロ野球も視聴者の確保のために、クライマックスシリーズは必要不可欠なコンテンツになっていると言えます。
【クライマックスシリーズ】下克上で2位や3位から日本一になったチームはある?【まとめ】
この記事では、クライマックスシリーズで起きた下剋上の歴史について紹介しました。
クライマックスシリーズにおいて、下剋上で2位や3位から日本一になったチームは過去に4チーム存在します。
クライマックスシリーズはいらないというネット上の声もありますが、野球人気衰退が叫ばれている今、エンターテイメント性が高い一発勝負のコンテンツとして貴重な存在となっています。