MLBのニュースで頻繁に見る「DFA」という用語。
この記事では、実質的な戦力外とも言われるDFAについて、日本の戦力外通告との違いに触れながら詳しく解説していきます。
【メジャーリーグ】DFAの本当の意味とは?
メジャーリーグにおけるDFAとは、「Designated For Assignment」の略語で、メジャー契約の40人枠から外すことを意味します。
40人枠とは?(40-man roster)
メジャーリーグの40人枠は選手にとって非常に重要。
40人枠に入っているとメジャー出場の可能性がありますが、枠外だとどれだけマイナーで好成績を残しても絶対にメジャーの試合に出場できません。
40人枠は日本プロ野球で言うところの支配下登録枠で、育成選手だと一軍の試合に出られないのと同様。
DFAはメジャーリーグ出場枠から外す措置なので、選手にとっては今後の給料などを考えると死活問題になります。
【メジャーリーグ】DFAで40人枠から外された選手に起きることとは?
メジャーリーグでDFAとなり40人枠から外れると、選手には段階に分けていくつかの選択肢が与えられます。
第1フェーズ:他球団への移籍
まずは、DFAになった後の7日間で、ウェイバーにかける、もしくはトレードで他球団への移籍の可能性があるかどうかの確認がされます。
ウェイバーは他球団に獲得意思があるかを問うもので、もし他球団が手を挙げた場合、選手はその球団へ移籍。トレードは文字通り、獲得意思がある球団の選手との交換です。
実力はメジャーで通用するレベルであっても、たまたまその球団ではポジションが被っている選手が多いなど不運だった選手は、ここで次の球団が決まることがほとんど。
もし他球団への移籍が決まらなければ、第2フェーズに移行します。
第2フェーズ①:DFAされたチームのマイナーに残る
他球団への移籍が決まらなかった場合、次のフェーズの第一段階として所属チームのマイナーに残ることを選択可能。
この場合、40人枠から外されている立場なので当然マイナー契約となります。
待遇の低下は避けられません。
ただし、ここからまた怪我人発生などで40人枠に空きが出ると再度40人枠への昇格もあり得るため、チーム状況によっては良い選択肢と言えます。
第2フェーズ②:FA(自由契約)になる
球団からマイナー契約をオファーされなかった、もしくはマイナー契約を拒否した場合は、第二段階としてフリーエージェント(FA)になることができます。
FAは文字通り完全に「無所属」になるためリスキーではありますが、他球団からより良い条件のオファーがある可能性があるのがメリットです。
DFAは必ずしも戦力外通告というわけではない
DFAは戦力外通告と訳されることもありますが、通告されると復帰が難しくなる日本プロ野球の戦力外通告とは明確に異なります。
もちろんメジャーリーグのDFAにも戦力外的な意味合いの場合もありますが、単純にロースターの兼ね合いでDFAにするパターンも割と存在します。
例:ベテラン選手をアクティブロースター(26人枠)から外したい
よくあるDFAのパターンとして挙げられるのが、ベテラン選手をベンチ入りメンバーの26人(アクティブロースター)から外したい場合。
メジャーリーグのロースターはベンチ入りメンバーの26人枠、マイナーで研鑽を積む14人を合わせた40人枠で構成されています。
若手であれば、調子が悪くなると回数限定でマイナー降格させることができますが、ベテランはそうはいきません。
メジャーリーグでは、選手は実績を積むと徐々に権利を得られる仕組みになっており、メジャー登録が5年以上の選手はマイナー降格拒否権を得ます。
これは、40人枠に入れたまま26人のベンチ入りメンバーから外す(=マイナー降格)ことができなくなるというもので、マイナー降格拒否権を持つ選手を26人枠から外したければ、40人枠からも外さなければなりません。(=DFA)
こういった場合は他のチームが拾ったり、一旦FAになってマイナー契約を結んだりと救済されることがほとんどなので、日本の戦力外通告とは意味が異なります。
日本の戦力外通告はほぼ復帰不可能
日本プロ野球における戦力外通告は、シーズン終了後に「来年の契約を結ばない」旨の通告がなされることを意味します。
最近ではメジャーのDFAと同様に育成契約(≒マイナー契約)で球団に残す動きも増えましたが、基本的には戦力外通告されるとプロ野球への復帰はほぼ不可能なのが現実です。