プロ野球における契約金は、引退後の生活の保障がないプロ野球選手にとって、第二の人生をスタートするための重要な原資です。
この記事では、プロ野球における契約金とは何か、上限額のルールや年俸との違いについて紹介していきます。
【プロ野球】契約金とは?
契約金は、選手が入団時に球団から受け取ることができるお金のことです。
英語では「Signing Bonus(サイニングボーナス)」で、契約書にサインすることによるボーナスとも言えます。
契約金はプロスポーツ界の慣習で、特に北米のプロスポーツ界では契約金の金額で揉めて入団拒否する流れはよく起こります。
契約金をもらう機会は2種類ある
プロ野球選手が契約金をもらう機会は2種類あり、ドラフト入団時とFA宣言時です。
ドラフト入団時は、初めてプロ野球選手として契約書にサインする時に契約金をもらいます。
もしプロの世界で一定の成績を残して長く活躍した場合、FA(フリーエージェント)宣言をすることができます。
FA宣言をすると一度どこにも所属していない状態になるため、その状態で契約書にサインすると契約金をもらうことができます。
【プロ野球】契約金と年俸の違いは?
年俸は、前年度の成績に応じた給料のことを指します。
契約金は入団時の一度きりなのに対し、年俸は残した成績によって毎年改定されるもので、雇用契約がある限りもらい続けることができるところに大きな違いがあります。
項目 | もらえるタイミング |
---|---|
契約金 | 入団時の1回のみ |
年俸 | 毎年(毎月支給) |
【プロ野球】契約金の上限額のルールは?
プロ野球において、契約金には上限額が設定されています。
ドラフト契約金の上限額
ドラフト契約金については、「最高標準額」として1億円+出来高5千万円と決まっています。
昔はこの最高標準額を超えた契約金を支払っても罰則規定がなかったため、巨人や西武、横浜が特定の選手に1億円を大幅に超えた契約金を払っていたとニュースになったことがありました。
このニュースが出て以降は契約金の高騰が問題視され、現在は最高標準額を超過すると罰則が与えられるようにルール変更されています。
FA移籍時の契約金上限額
FAで移籍した場合も、契約金には上限が設けられています。
FA宣言して他球団へ移籍した場合は、移籍したシーズンの年俸の半額が契約金の上限となります。
ちなみにFA宣言してから残留した場合(いわゆるFA残留)は、契約金が無制限。
契約内容によっては契約金を受け取らず、その分年俸に上乗せする場合もあります。
【プロ野球】ドラフト順位別の契約金一覧
プロ野球におけるドラフト契約金については、ドラフト順位によっておおよその金額が決まっています。
ドラフト順位 | 契約金 |
---|---|
1位 | 1億円+出来高5000万円 |
2位 | 8000万円前後 |
3位 | 5000万円前後 |
4位 | 5000万円前後 |
5位 | 3000万円前後 |
6位 | 3000万円前後 |
育成選手 | 契約金なし ※支度金として300万円前後支給 |
基本的にはドラフト時の評価が契約金額に反映されるため、あくまで概算値です。
例えば2位指名でも1位レベルの即戦力ルーキーを獲得できた場合、1億円になることもあります。
逆に1位指名でも素材型の高卒ルーキーの場合、8000万円になることもあります。
メジャーでは契約金数億円は普通
メジャーリーグでは契約金だけで5億円超えも珍しくありません。
MLBのドラフト最上位指名選手の契約金例
MLBドラフトでは各球団ごとにドラフト指名選手に支払う契約金総額(ボーナスプール)があらかじめ設定されていて上限はあるものの、ドラフト指名上位選手は契約金だけで数億円もらうのは当たり前になっています。
例えば、エンゼルスでブレイク中のミッキー・モニアック選手はドラフト全米1位指名で、契約金は610万ドル(1ドル120円換算で7億3200万円)でした。
メジャー昇格までの道が険しすぎて、生活費に消える
メジャーリーグでは契約金が莫大になる一方で、入団後にマイナーリーグでもらえる年俸は一律で100万円~200万円程度。
この金額では食っていけないため、マイナーリーガーはドラフト時の契約金から補填したり、バイトせざるを得ません。
例えば、MLBドラフトを経て日本ハムに入団した加藤豪将選手は、MLBドラフト2巡目指名(全体66位)で契約金は84万5700ドル(約1億円)でした。
そこから約10年間もの間マイナーでプレイしたため、契約金は1億円だったものの経済的には厳しかったと推測されます。
日本は「退職金」という意識
一方で、日本のプロ野球は二軍選手でも生きていけるレベルの年俸が保証されています。
若手時代は寮もあり、贅沢さえしなければお金を使うことは少なく、マイナーリーグと比較すると良い環境と言えます。
そのため、契約金は引退するまで取っておき、第二の人生のスタートを切る際の資金として使うことが多いようです。
他には契約金を使って高級車を買う選手や、母校に寄付する選手もいます。
【プロ野球】契約金とは?上限額のルールや年俸との違いについて解説!【まとめ】
この記事では、プロ野球における契約金とは何か、上限額のルールや年俸との違いについて紹介しました。
契約金は、選手が入団時に球団から受け取ることができるお金のことです。
ドラフト契約金は1億円+出来高5千万円が最高標準額として定められており、FA宣言して他球団へ移籍した場合は移籍したシーズンの年俸額の半額が契約金の上限額となります。