アメリカや台湾では投手の公式記録として目にすることが多い指標「WHIP」。
この記事では、WHIPの意味や計算方法、評価基準を解説、最後に歴代WHIPランキングを紹介していきます。
【野球】WHIPとは?意味を解説!
WHIPとは、1イニングあたり何人ランナーを出したかを表す指標です。
英語では「Walks plus Hits per Inning Pitched」と言い、その略称としてWHIPと言われます。
直訳すると、「1イニングあたりの与四球とヒットの合計数」という意味です。
WHIPの読み方は?
WHIPの読み方は「ウィップ」です。
実際に英語話者がWHIPを「ウィップ」と呼んでいる動画がこちら。
WHIPの本質的な意味
WHIPは1イニングあたりのランナーの数を測る指標であることから、数値が低ければ低いほど良いです。
WHIPの本質的な意味は「投手の無双具合を示す指標」と言えます。
WHIPの数値が良ければ良いほど、投球内容がパーフェクトに近いことを意味するからです。
完全試合だとランナーを1人も出さないので、WHIP0ですよね。
例えば、MLB最強投手とも言われるジェイコブ・デグロム投手は、2021年シーズンのWHIPが0.55。
怪我をしたため92イニングでシーズン終了しましたが、たった40本しかヒットを打たれず、11与四球、防御率は1.08でした。
WHIPは安定感の指標というよりもむしろ無双度合いを表していると捉えた方が良いのではないかと考えます。
WHIPの計算方法は?
WHIP =(被安打+与四球)/ 投球回数
例えば、被安打100、与四球30、投球回数130イニングの投手のWHIPを計算するとこうなります。
(被安打100+与四球30)/ 投球回数130 = WHIP1.0
WHIPの課題
投手の能力がサクっと分かる便利な指標には間違いないWHIPですが、実はいくつか課題点が指摘されています。
- 被安打が野手の守備力に依存
- 四球はあるのに死球が入っていない
- 長打が単打としてカウントされる
WHIPの課題①被安打が野手の守備力に依存
純粋な投手能力を測るのであれば、野手の守備力に依存する「被安打」が計算式に入っているのはおかしいという指摘です。
確かにMLBではシンカーやツーシームでゴロアウトを狙う投手も多く、不平等になる可能性をはらんでいます。
一方で、三振を奪っていくタイプの投手の場合は、野手の守備力に依存する機会が少ないため有利です。
WHIPの課題②四球はあるのに死球が入っていない
続いて、四球は計算式に入れているのに、死球を入れていないという指摘です。
これに関しては死球の数は被安打数や四球数に比べて相対的に少なく、WHIPの計算結果に大きな影響を与えることはないので、気にする必要はないでしょう。
WHIPの課題③長打が単打としてカウントされる
一番大きな課題が、長打であっても数値上は単打としてカウントされる問題です。
WHIPの計算上は、ホームランを打たれてもシングルヒットを打たれても同じ1本のヒットとして処理されます。
長打を打たれて大量失点したら意味ないという批判です。
例えば、ランナー満塁でホームランを打たれたら4点入るのに対し、単打であれば多くても2点で済みます。
これに関しては失点(自責点)で測るべきで、防御率を見ればOKです。
いくらWHIPが優秀でも、たまたまランナー満塁の時に満塁ホームランを打たれれば防御率は高くなります。
WHIPはあくまで「出塁阻止」の指標として見ておいて、防御率や他の指標と組み合わせて評価することでWHIPの欠点を補うことができます。
WHIPの評価基準
WHIPは平均的な投手の基準を1.3とし、そこからの上下で評価基準が下記のように分かれます。
WHIP | 評価 |
---|---|
1.00以下 | 素晴らしい |
1.10 | 非常に良い |
1.20 | 平均以上 |
1.30 | 平均 |
1.40 | 平均以下 |
1.50 | 悪い |
1.60以上 | 非常に悪い |
WHIPの評価にはある程度のイニング数が必要
WHIPは防御率などと同様に、投げたイニング数が少ないと短期間の好調時だけ活躍した投手が有利になってしまいます。
そのため、WHIPで選手を比較する際は、規定投球回などの一定の基準の中でランキングを作成します。
例えば、下記に紹介する通算WHIPだと2000イニング以上が基準になります。
【日本】WHIPランキング
ここでは日本人プロ野球選手のWHIPランキングを紹介していきます。
【通算】日本人プロ野球選手WHIPランキング【21世紀】
21世紀以降の日本人プロ野球選手における通算WHIPランキングがこちら。
順位 | WHIP | 選手名 |
---|---|---|
1 | 0.98 | 上原浩治 |
2 | 1.06 | ダルビッシュ有* |
3 | 1.08 | 前田健太* |
4 | 1.09 | 岸孝之* |
5 | 1.12 | 田中将大* |
6 | 1.1380 | 杉内俊哉 |
7 | 1.1460 | 和田毅* |
8 | 1.17 | 金子千尋 |
9 | 1.18 | 岩隈久志 |
10 | 1.2174 | 黒田博樹 |
【シーズン】日本人プロ野球選手WHIPランキング【21世紀】
21世紀以降の日本人プロ野球選手におけるシーズンWHIPランキングがこちら。
順位 | WHIP | 選手名 | 年度 |
---|---|---|---|
1 | 0.8276 | ダルビッシュ有* | 2011 |
2 | 0.8283 | ダルビッシュ有* | 2007 |
3 | 0.8468 | 山本由伸* | 2021 |
4 | 0.8541 | 菅野智之* | 2017 |
5 | 0.8677 | 大野雄大* | 2020 |
6 | 0.8706 | 吉見一起 | 2011 |
7 | 0.8725 | 武田勝 | 2007 |
8 | 0.8748 | 田中将大* | 2011 |
9 | 0.8810 | 吉川光夫 | 2012 |
10 | 0.8883 | 菅野智之* | 2020 |
【野球】WHIPとは?計算方法や基準は?ランキングも紹介!【まとめ】
この記事では、WHIPの意味や計算方法、評価基準を解説、最後に歴代WHIPランキングを紹介しました。
WHIPとは、1イニングあたり何人ランナーを出したかを表す指標です。
WHIPは「(被安打+与四球)/ 投球回数」で求めることができ、1.3を平均的な投手として、数値が低ければ低いほど良い投手という評価になります。