MLBの投手マネジメント手法として知られる「オープナー」。
日本では「オープナー」と似たような作戦として「ブルペンデー」が時折行われますが、この2つは実は似て非なるものです。
この記事では、オープナーの意味や導入によるメリット、ブルペンデーとの違いについて解説していきます。
【野球】オープナーとはどういう意味?
オープナーとは、リリーフピッチャーを先発登板させて1~2回を抑えた後、先発投手が後を引き継いで投げることを指します。
または、先発登板したリリーフピッチャーを指して「オープナー」とも言います。
オープナーを使うケースはどんな時?
オープナーは、主にMLBで用いられる作戦です。
リリーフが上位打線を抑えてから先発投手が登板すると、格が落ちるバッターとの対戦からスタートになるため、先発投手の負担が軽くなります。
30球団あるMLBのチームの中には、質の高い先発投手を揃えられないチームも存在するため、そういったチームのための「弱者の戦術」として用いられます。
【野球】オープナーを導入することによるメリットは?
オープナー導入によって、チームは様々なメリットを得ることができます。
オープナー導入によるメリット①先発投手の負担減
まずメリットとして挙げられるのは、先発投手の負担減です。
力のあるリリーフ投手が力のあるバッターが多い上位打線を抑えてくれるため、先発投手は格が落ちるバッターからのスタートとなり気楽に投げることが可能になります。
同じピッチャーで2巡、3巡するとバッターが慣れてくるため、慣れを防ぐ効果も期待できます。
オープナー導入によるメリット②チーム全体の防御率の上昇
オープナー導入は、チーム全体の投手力底上げにも寄与すると言われています。
先発投手は初回が一番失点確率が高いと言われていて、その鬼門となる初回を実力のあるリリーフ投手に抑えてもらうことで、結果的にチーム全体の失点も減るという論理です。
実際、知将として知られるケビン・キャッシュ監督がレイズでオープナーを採用した時、防御率が良化したというデータも出ています。
オープナー導入によるメリット③低コストで投手陣を構築できる
他にもチームの財政的なメリットとして、低コストで投手陣を構築できるという点も挙げられます。
MLBでは質の高い先発投手は年俸が高く、逆にリリーフ投手はかなり安価です。
先発投手は年俸の安い若手中心で構成し、リリーバーは実力があって年俸が安い投手で揃えれば総年俸を抑えることが可能になります。
リリーフ投手にとってみれば良い事ではないかもしれませんが…
【MLB】オープナーの具体例
オープナーの具体例として、大谷翔平選手も3番DHで先発出場したエンゼルス対マリナーズの試合を紹介します。
2019年7月12日に行われ、エンゼルスがオープナーを採用してマリナーズをノーヒットノーランで下した試合です。
投手名 | 投球回 | 被安打 | 四球 | 三振 |
---|---|---|---|---|
テイラー・コール | 2.0 | 0 | 0 | 2 |
フェリックス・ペーニャ | 7.0 | 0 | 1 | 6 |
まずテイラー・コール投手が最初の2回を抑え、後を受けたフェリックス・ペーニャ投手が7回を1四球のみで抑えてノーヒットノーランでの勝利となりました。
ちなみにペーニャ投手は現在、韓国のハンファ・イーグルスで先発投手として活躍しています。
【野球】オープナーとブルペンデーの違いは?
オープナーと似たような概念としてブルペンデーがあります。
ブルペンデーとは、その試合をリリーフ投手のみで継投していく作戦のことを指します。
ブルペンデーは一切先発投手を起用しないことから、ローテーションの谷間など先発投手の頭数が足りない時に使われる戦術です。
オープナーとブルペンデーは、リリーフ投手を先発登板させるところまでは同じですが、後に続く投手が先発投手なのかリリーフ投手なのかで明確に異なります。
先発投手が2番手で登板するならオープナー、リリーフ投手のみで継投するならブルペンデーです。