野球ニュースで聞く「ホールド」という用語。
理解しているようで実は詳しくは分からない微妙な野球用語ですよね。
そこでこの記事では、野球のホールドについて意味や条件、ホールドポイントとの違いについて詳しく解説していきます。
【野球】ホールドとは?意味を解説!
野球のホールドとは、中継ぎ投手が登板時に一定条件を満たした場合に与えられる記録です。
ホールドは、主にセットアッパーに付きやすいのが特徴です。
ホールドの意味は?
ホールドが生まれる前は、投手を評価する指標が「勝利数」と「セーブ」しかなく、中継ぎ投手を評価する指標がありませんでした。
そこでアメリカで生み出されたのが「ホールド」。
ホールドは英語の「Hold」の「その状態を維持する」という意味の通り、中継ぎ投手が勝ちゲームで試合のリードを保った投球を評価するという意味の指標です。
ホールドはいつから記録されるようになった?
ホールドは、1986年にジョン・デワンとマイク・オドネルという2人の統計家によって開発されました。
ホールドが開発された本場のメジャーリーグでは公式記録にはなっていませんが、統計としては1999年以降の記録を通算記録としてカウントしています。
NPBでは1996年からパ・リーグが採用。
2005年からセ・パ両リーグでホールドを採用したため、通算記録としては2005年以降のもののみが使用されます。
通算ホールドランキング(後述)に近年の中継ぎ投手しか登場しないのは、これが理由です。
【野球】ホールドがつく条件を詳しく解説!
ホールドを記録する前提条件として、以下を全て満たす必要があります。
- 先発投手ではない
- 勝利投手ではない
- 敗戦投手ではない
- セーブを記録していない
- リリーフ登板して、試合の最後まで投げていない
- 1アウト以上を取っている
- 降板後、自身が残したランナーによる失点によって同点になったり逆転されたりしていない
これらを前提条件として、さらに試合状況に合わせて満たすべき条件があります。
勝っている場面での登板の場合
上記の前提条件を満たした上で、下記のいずれかの条件を満たせばホールドが記録されます。
- 3点以内のリードをしている場面で登板し、1回以上を投げてリードを保ったまま降板
- 2者連続でホームランを打たれたら同点もしくは逆転される場面で登板し、1アウト以上を投げてリードを保ったまま降板
- 点差関係なしでリードしている場面で登板し、3回以上投げてリードを保ったまま降板
①は基本となるホールド場面。
②は分かりづらいので補足すると、②に該当する場面は下記の通りです。
- ランナー無し:点差が2点差以内(ソロHR2本で同点)
- ランナー1人:点差が3点差以内(2ランHR+ソロHRで同点)
- ランナー2人:点差が4点差以内(3ランHR+ソロHRで同点)
- ランナー満塁:点差が5点差以内(満塁HR+ソロHRで同点)
要は2者連続ホームランを打たれたら同点に追いつかれるようなヒリヒリする場面を抑えたかどうかを想定しています。
1アウトさえ取れればいいというのも、ワンポイントリリーフを意識したものになっています。
ランナーがいる場面での登板が多い中継ぎ投手を評価するために設定されている条件です。
③はロングリリーフを評価するものになっています。
同点の場面での登板の場合
- 同点を保ったまま降板
- 登板中に自チームが勝ち越した場合、リードを保ったまま降板
①はシンプルで同点を保ったまま、失点せずに降板すればホールドが記録されます。
②はこのままだと勝利投手となりホールドが記録されないため、後続の投手が同点に追いつかれるなどして勝利投手の権利が消滅する必要があります。
勝ち投手になるとホールドがつかないジレンマです。
負け試合でもホールドはつく
負け試合でもホールドは記録されます。
ただし、これは負けている状況で登板してもホールドがつくという意味ではありません。
あくまで上記に解説したホールド場面で登板してホールドの条件を満たした上で、後続の投手が打たれて結果的に試合に負けた場合を指します。
この場合、チームは負けたにもかかわらずホールドが記録される投手が出てくることになります。
勝たないと記録されない勝利投手とセーブとの大きな違いがこれです。
ホールドがつくのは何人まで?
ホールドは1試合で複数人が記録することが可能です。
人数の上限はなく、ホールドの条件を満たす投手全員にホールドがつきます。
ホールドとホールドポイントの違いは?
ホールドポイントとは「ホールド+リリーフ勝利数」の合計値を指します。
ホールド数にリリーフでの勝利数を足すことで、本来はホールドのはずだったのに試合展開の影響で勝利投手になってしまったものも合わせて評価することができます。
そのため、日本プロ野球では「最優秀中継ぎ投手」を決めるための指標としてホールドポイントを使用しています。
MLBでは採用されておらず、あくまで日本独自のものです。
よって、ホールドはホールドポイントの一部の要素に過ぎないため、明確に別物です。
ホールドとセーブの違いは?
ホールドとセーブの違いはこれらが挙げられます。
比較項目 | ホールド | セーブ |
---|---|---|
登板場面 | 試合を締めくくってはいけない | 試合を締めくくる必要がある |
記録される人数 | 複数人可能 | 1試合1人のみ |
記録される場面 | 試合に負けても記録される | 性質上勝たないとつかない |
セーブは1試合の内に勝ったチームで試合を締めくくった投手1人のみにしか記録されないため、セーブ記録の方が重視されがちです。
抑え投手の年俸がセットアッパーの年俸より高いのはそのためです。
日米ホールド数ランキング一覧
最後に、日米のホールド数ランキングを紹介していきます。
【NPB】通算ホールド数ランキングTOP5
日本プロ野球における通算ホールド数ランキングの上位5名がこちら。
選手名 | 通算ホールド数 |
---|---|
宮西 尚生* | 393 |
山口 鉄也 | 273 |
浅尾 拓也 | 200 |
マシソン | 174 |
五十嵐 亮太 | 163 |
藤川 球児 | 163 |
すぐ下にロッテ・益田投手(162H)、ソフトバンク・又吉投手(160H)が控えており、今後の活躍次第ではTOP5入りしそうです。
【MLB】通算ホールドランキングTOP5
メジャーリーグにおける通算ホールド数ランキングの上位5名がこちら。
選手名 | 通算ホールド数 |
---|---|
トニー・ワトソン | 246 |
アーサー・ローズ | 231 |
ジョー・スミス | 228 |
タイラー・クリッパード | 226 |
ホアキン・ベノワ | 211 |
アーサー・ローズ氏は「イチローのチームメイト」としても有名な、左のセットアッパーでした。
【野球】ホールドとは?意味や条件を解説!ホールドポイントとの違いは?【まとめ】
この記事では、野球のホールドについて意味や条件、ホールドポイントとの違いについて詳しく解説しました。
ホールドとは一定の条件を満たした中継ぎ投手に記録される指標です。
まだ歴史が浅い指標でもあり、それ故に名球会入りの基準として認められていないのかもしれません。