過去にイチローから始まり、松坂、ダルビッシュ、田中将大など日本を代表する超一流プレイヤーたちが利用したポスティング制度。
2023年オフにはオリックス・山本由伸投手のポスティング利用でのメジャー移籍が濃厚で、移籍金はいくらなのか気になるところです。
そこでこの記事では、ポスティング移籍金の歴代ルールやランキングを振り返り、山本由伸投手のポスティング移籍金を予想していきます。
【プロ野球】ポスティング移籍金の歴代ルール推移
ポスティング移籍金(譲渡金)のルールはこれまでに2度大きな変更がなされています。
年 | 移籍金上限 | 移籍金決定権 | 交渉できる球団数 |
---|---|---|---|
~2013年 | なし | MLB球団による入札 | 最高金額で入札した1球団のみ |
2014年~17年 | 2000万ドル(24億円) | NPB球団が設定 | 設定された移籍金を支払う意思のある球団全て |
2018年~ | 選手の契約総額に連動 | 選手の契約総額に連動 | 全球団 |
それぞれの思惑が絡み合い、ルール変更がなされてきた
ポスティングに絡むのは、MLB球団、NPB球団、当該選手の3者。
それぞれの思惑は以下の通りで、良い落としどころを見つけるため、これまでに2度の大きなルール改変が行われています。
- MLB球団:なるべく移籍金を払いたくない
- NPB球団:なるべく多くの移籍金を受け取りたい
- 当該選手:好条件を得るため、なるべく多くの球団と交渉したい
当初のルールでは移籍金が無制限でかなりNPB球団に有利なルールでしたが、一方でMLB球団は多額の移籍金支払いが必要となり、しかも当該選手は移籍金を一番多く払った1球団のみとの交渉に限られていました。
これを受けて改変されたのが、移籍金を上限2000万ドルでNPB球団が設定するというもの。
これによりMLB側の譲渡金負担が減り、しかも当該選手も複数球団と契約交渉が可能になった点において、前ルールより改善されました。
ただ、NPB球団が選手の価値に見合わない移籍金を提示すると、ポスティングが不成立になるリスクもはらんでいましした。
これを受けて、現行のルールである「選手の契約総額に連動方式」に変更されました。
現行の「契約総額に連動方式」の移籍金計算式は?
選手の契約総額に連動方式では、選手は実質全球団と契約交渉可能で、その契約総額に応じた金額にてポスティング移籍金が支払われることとなります。
その移籍金を決める計算式は以下の通り。
- 契約総額が2,500万ドル以下の範囲は、契約金額の20%
- 契約総額が2,500万~5,000万ドルの範囲は、契約金額の17.5%
- 契約総額が5,000万ドル以上の範囲は、契約金額の15%
上記①②③の計算金額の総額が譲渡金になる。
累進課税と同様の計算方式です。
【プロ野球】ポスティング歴代移籍金ランキング
歴代のポスティング移籍金ランキングは以下の通り。
譲渡金額(ドル) | 譲渡金額(日本円:当時) | 選手 | 年度 | 日本での所属 | 移籍先 | MLB在籍期間 | MLB通算成績 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
$51,703,411 | 約40億円 | ダルビッシュ有* | 2011年 | 日本ハム | レンジャーズ | 2012- | 266試 103勝85敗 防3.59 |
$51,111,111 | 約60億円 | 松坂大輔 | 2006年 | 西武 | レッドソックス | 2007-2014 | 158試 56勝43敗1S 3H 防4.45 |
$50,625,000 | 約70億9000万円 | 山本由伸 | 2023年 | オリックス | ドジャース | 2024- | |
$26,000,194 | 約28億2482万円 | 井川慶 | 2006年 | 阪神 | ヤンキース | 2007-2011 | 16試 2勝4敗 防6.66 |
$20,000,000 | 約22億円 | 田中将大 | 2013年 | 楽天 | ヤンキース | 2014-2020 | 174試 78勝46敗 防3.74 |
$20,000,000 | 約24億円 | 前田健太* | 2015年 | 広島 | ドジャース | 2016- | 190試 65勝49敗6S 9H 防3.92 |
$20,000,000 | 約23億円 | 大谷翔平* | 2017年 | 日本ハム | エンゼルス | 2018- | 86試 38勝19敗 防3.01 701試 率.274 171本 437点 86盗 |
$15,375,000 | 約21億円 | 吉田正尚* | 2022年 | オリックス | レッドソックス | 2023- | 140試 率.289 15本 72点 8盗 |
$14,625,000 | 約16億8000万円 | 鈴木誠也* | 2021年 | 広島 | カブス | 2022- | 249試 率.275 34本 120点 15盗 |
$13,125,000 | 約17億2000万円 | イチロー | 2000年 | オリックス | マリナーズ | 2001-2019 | 2653試 率.311 117本 780点 509盗 |
$11,264,055 | 約15億円 | 石井一久 | 2001年 | ヤクルト | ドジャース | 2002-2005 | 105試 39勝34敗 防4.44 |
ランキング1位と2位は、移籍金上限がなかった時代のダルビッシュと松坂の両投手でした。
後に移籍金が2000万ドル上限となった後に、田中将大・前田健太・大谷翔平という日本のスターがポスティングでメジャー挑戦。
もしこの時に移籍金の上限がなかったら、もっと移籍金が跳ね上がっていたかもしれません。
【予想】山本由伸のポスティング移籍金は?
2023年のオフ、オリックス・山本由伸投手がポスティングで移籍すると報じられています。
契約総額がニュースで言われている2億ドル(現在のレートで約290億円)とした場合のポスティング移籍金を計算します。
山本由伸のポスティング譲渡金計算
現行のポスティング譲渡金の計算式に当てはめて計算するとこのようになります。
- 契約総額が2,500万ドル以下の範囲は、契約金額の20%
- 契約総額が2,500万~5,000万ドルの範囲は、契約金額の17.5%
- 契約総額が5,000万ドル以上の範囲は、契約金額の15%
上記①②③の計算金額の総額が譲渡金になる。
範囲 | 率 | 金額 |
---|---|---|
2500万ドル以下 | 20% | $5,000,000 |
2500万~5000万ドル | 17.5% | $4,375,000 |
5000万ドル以上 | 15% | $22,500,000 |
合計 | – | $31,875,000 |
もし2億ドルの契約だった場合、歴代3位の譲渡金額$31,875,000(約47億5000万円)となる見込みです。