近年、日本でも注目されているクオリティスタート(QS)。
先発に完投よりも試合を作ることを求めるメジャーリーグ発祥の考え方ですが、日本でも重要視されるようになってきました。
この記事では、クオリティスタート(QS)の意味やQS率のランキングについて紹介していきます。
クオリティスタート(QS)とは？意味は？
クオリティスタート(QS)とは、先発投手が6イニング以上を投げて、かつ自責点3以下に抑えた場合に記録される指標のこと。
QSが記録されるには「6回以上」と「自責点3以下」が同時に達成される必要があります。
例えば、8回まで無失点に抑えて、9回に自責点4を記録したらQSは記録されません。
アッキー9回に4点取られてQS逃すのはさすがに辛すぎ…
クオリティスタート(QS)にはどういう意味がある？
クオリティスタート(QS)の本質的な意味は「先発投手が試合を作れたかどうか」です。
QSが重要視され始めた背景には、近年の投手分業制の発達があります。
先発投手が球数関係なく完投していた時代は勝ち負けが先発についたので、勝利数でピッチャーの良し悪しを評価できました。
ただ、近年では投手分業制が発達してきて、各球団先発・中継ぎ・抑えと役割分担することが当たり前になっています。
特にメジャーリーグでは中4日100球前後でどんどんローテーションを回していきます。
そうなると、先発投手が降板した後にリリーフが打たれて勝ちが消えることもしばしば。
アッキー大谷選手の場合、いわゆる「なおエ」ですね。
そういった背景から編み出されたのがクオリティスタート(QS)です。
好投したけど勝ちが付かなかった先発投手も、QSの指標によって報われるというわけです。
クオリティスタート(QS)に対する批判
QSの指標には一部批判の声もあります。
というのも、6回自責点3のピッチャーの防御率は4.50であり、「防御率4.50のピッチャーはレベルが低いのでは？」という批判です。
この批判に関しては、メジャーリーグでは当てはまらないかもしれません。
MLBは試合数が多いので、中4日でとにかく先発ローテーションを崩さずに回していくことが最も重要視されます。
先発が早期降板するとリリーフのマネジメントが難しくなることから、「6回3失点で試合を作ってくれるだけで上等」という意識があります。
ただ、日本においてはこの批判は当てはまります。
日本の先発投手は中6日で投げているので、もっと質の高い投球が求められます。
ハイクオリティスタート(HQS)とは？意味は？
クオリティスタート(QS)には上位互換となる指標があり、それはハイクオリティスタート(HQS)。
QSよりも長いイニングを投げてより良い投球内容だとHQSになります。
QSとHQSの違いをまとめます。
- QS：6回以上、かつ自責点3以内
- HQS：7回以上、かつ自責点2以内
QS率とは？計算方法は？
QS率とは、先発ピッチャーがシーズン通してどれだけ安定した投球を見せたかを表す指標です。
全先発登板に対してQSの割合なので、意味合いとしてはQS率の数値が高ければ高いほど安定した良いピッチャーということになります。
日本の主要ピッチャーのQS率
日本の主要ピッチャーの2022年のQS率を紹介していきます。
大谷翔平選手のQS率が低いのは、自責点が1や2でも5回で降板することが多々あったためです。
理由はいくつかありますが、奪三振能力が高い大谷選手が三振を取りに行った結果、球数がかさんでQS目前で交代という場面が多かったようです。
| 名前 | チーム名 | 先発登板数 | QS数 | QS率 |
|---|---|---|---|---|
| 大谷 翔平 | エンゼルス | 28 | 16 | 57.1% |
| ダルビッシュ有 | パドレス | 30 | 25 | 83.3% |
| 加藤 貴之 | 日本ハム | 21 | 18 | 85.7% |
| 山本 由伸 | オリックス | 26 | 22 | 84.6% |
| 高橋 光成 | 西武 | 26 | 21 | 80.8% |
| 戸郷 翔征 | 巨人 | 25 | 20 | 80.0% |
| 西 勇輝 | 阪神 | 23 | 18 | 78.3% |
| 今永 昇太 | 横浜 | 21 | 16 | 76.2% |
| 青柳 晃洋 | 阪神 | 24 | 18 | 75.0% |
| 千賀 滉大 | ソフトバンク | 22 | 16 | 72.7% |
各球団のエース級のピッチャーのQS率は70％を超えてくる印象です。
「確実に試合を作ってくれる」という安心感が、エースと言われる所以と言えるかもしれませんね。
日本プロ野球におけるQS率1位は日本ハムの加藤投手。
加藤投手はマダックス（球数100球未満での完封）未遂を度々やっていて、高い制球力とキレのある球で安定感のある投球が持ち味です。
クオリティスタート(QS)とは？意味やQS率ランキングを紹介！【まとめ】
この記事では、クオリティスタート(QS)の意味やQS率のランキングについて紹介してきました。
QSは先発投手で6回以上投げて、かつ自責点3以下の場合に記録されます。
各球団のエースピッチャーのQS率は70％を超えており、2022年のQS率トップは日本ハムファイターズの加藤投手でした。