2023年のオフに大谷翔平選手がFAになることで話題になっています。
とはいえ、メジャーリーグのFAは日本の制度とは大きく異なるため、大谷選手のFAの動向を楽しむためにMLBのFAについてもっと深く知りたいという方もいらっしゃることでしょう。
そこでこの記事では、メジャーリーグのFAの仕組みについて取得年数から人的補償の有無まで、日本の制度との違いに言及しつつわかりやすく紹介していきます。
【MLB】メジャーリーグのFAとは?【概要】
FAとはフリーエージェントの略で、どの球団も自由に獲得できる状態にある選手のことを指します。
FAには種類がある
FAになるには数種類の道があり、下記の通りです。
- 規定の期間をメジャー登録されたことで得られる選手の権利としてのFA
- 契約期間満了によるFA
- 自由契約によるFA
- アマチュアFA(ドラフト指名対象外のアマチュア選手)
など
一般的にFAを意味するのは、①の規定の期間をメジャー登録されたことで得られる選手の権利としてのFAです。
②③④のFAとは違い、第一線で活躍中のメジャーリーガーが自由獲得できるようになるので年俸が高騰するという仕組みになっています。
日本も同様です。
【MLB】メジャーリーグのFAは何年で取れる?
メジャーリーグのFAはアクティブロースターに入った期間が6年に達すると取得可能です。
アクティブロースターとは?
アクティブロースターとは、簡単に言うとベンチ入りの26人枠のことです。
他に40人ロースターというものもありますが、これはメジャー契約しているマイナーリーグの選手も含む点で明確に異なります。
このアクティブロースター(メジャーの26人枠)に入った期間のことをサービスタイムと言います。
メジャーはサービスタイムで区切ることが多い
メジャーでは、サービスタイムで区切って選手に様々な恩恵を与えることが多いです。
例えばこのようなものがあります。
- サービスタイム1日以上:一生涯の健康保険を得られる
- サービスタイム3年以上:年俸調停権/マイナー契約拒否権
- サービスタイム5年以上:マイナー降格拒否権
- サービスタイム6年以上:FA権
- サービスタイム10年以上:トレード拒否権/年金満額受給権
特に重要なサービスタイム3年と6年
特にサービスタイム3年と6年は選手にとって重要で、年俸額に直結します。
サービスタイム3年未満の選手は年俸調停権を持たないため、球団が給料を決めます。
それに対して選手側から異議申し立てもできないため、球団の言いなり状態で、給料は最低保証年俸です。
最低保証年俸は2023年現在で約1億円。
その後、サービスタイムが3年に達して年俸調停権を得ると、ようやく球団と対等に交渉することが可能になって給料がグッと上がります。
さらに累計6年に達してFAになると、他球団とも交渉できるようになり、一部の実力がある選手は給料が爆上がりします。
そのため、球団はデビューをあえてシーズン途中まで遅らせることで、1年でも多く選手を安く雇用できるように工夫したりしています。
【MLB】メジャーリーグのFAに人的補償はある?
メジャーリーグのFAには人的補償という概念がありません。
よってFA移籍したからと言って、移籍先チームから金銭や代替選手などの見返りを求めることはできません。
代わりにクオリファイング・オファーという制度があり、上位のドラフト指名権を得ることができます。
ドラフト指名権ではなく、トレードで若手選手と交換する球団も多くあります。
クオリファイング・オファーとは?
クオリファイング・オファーとは、FAになった選手に提示できる契約種類の中の一つ。
具体的には1年契約で、MLB選手の年俸上位125選手の平均と同額です。
選手がこのクオリファイング・オファーを拒否して他球団に移籍すると、移籍された球団はドラフト上位指名権を得ることができます。
ドラフト指名順は贅沢税の絡みもあり非常にややこしいので、上位指名権をもらえると覚えておけば大丈夫です。
大谷翔平がFAの場合クオリファイング・オファーの提示はある?
大谷翔平選手が今年FAになった場合、エンゼルスによるクオリファイング・オファーの提示は確実にあると考えられます。
大谷選手の年俸は今年3000万ドルであり、MLB選手の年俸上位125選手の平均よりもかなり上です。
しかも今年のFA市場におけるNo.1の超目玉選手なので、わざわざ減俸した上でしかも1年契約で残留するなんてことは起こり得ません。
そのため、エンゼルスは拒否されるのをわかった上でクオリファイング・オファーを提示し、せめてドラフト上位権を得ようとするはずです。
クオリファイング・オファーはこういった使い方が一般的で、実際に受諾するケースは少ないのが現状です。
【MLB】メジャーリーグのFAに移籍金はある?
メジャーリーグのFA移籍に移籍金は発生しません。
海外のサッカーにおいても移籍金が発生するのは、クラブが選手の保有権をまだ所持している時のみです。
選手の保有権を移籍金で買い取るイメージ。
選手が契約を満了してフリー(MLBで言うところのFA)になると、もちろん移籍金は発生しません。
MLBにおいて移籍金が発生するのは、海外球団が選手の保有権を球団が所持している段階でMLBに移籍するポスティングのみです。
日本プロ野球とメジャーリーグのFAの違いは?
ここまでメジャーリーグのFAの仕組みについて解説しましたが、最後に日本プロ野球のFA制度との違いについて紹介します。
日本プロ野球のFA制度との一番大きな違い
NPBとMLBのFA制度で一番大きく異なる点が、自動でFAになるかどうかです。
NPBはFA権を取得しただけではFAになれず、実際に行使する必要があります。
一方でMLBは、FA権を取得した段階で自動的に行使された状態になり、自動でFAになることができます。
FAの日米での違い一覧表
比較項目 | 日本 | メジャー |
---|---|---|
自動FAか否か | FA宣言する必要あり | 自動的にFA |
取得年数 | 7~9年 | 6年 |
人的補償 | 条件によってはアリ | なし |
金銭補償 | 条件によってはアリ | なし |
移籍金 | なし | なし |
FA人数(2022年) | 8名のみ行使 | 数百人規模 |
メジャーリーグのFAとは?何年で取得?人的補償は?日米の仕組みの違いを解説!【まとめ】
この記事では、メジャーリーグのFAの仕組みについて取得年数から人的補償の有無まで、日本の制度との違いに言及しつつわかりやすく紹介しました。
FAとはフリーエージェントの略で、どの球団も自由に獲得できる状態にある選手のことを指します。
MLBのFAは6年で取得できて人的補償は発生せず、日本とは大きく異なるのが特徴です。