日本では、どんな有名選手であっても引退後は監督やコーチ、解説者などの職に就いて、ずっと働き続けるのが一般的。
ところがメジャーリーグでは、引退後は隠居して趣味に没頭したり、仕事から離れて家族との時間を楽しむ選手がたくさんいます。
それを可能にしているのが、メジャーリーグの手厚い年金制度。
この記事では、メジャーリーグの年金制度の仕組みについて解説、また日本人で満額支給される選手は誰なのか紹介していきます。
メジャーリーグ年金制度の仕組みは?
下記に詳しく解説していきます。
現時点でのメジャーリーグの年金制度はこのようになっています。
- 受給可能年齢:62歳から死ぬまで受け取れる生涯年金(早めることも可能)
- 受給者死去後、配偶者のみ相続可能。
- 支給額は最高で年間23万ドル(約2,800万円)。
- 43日間のメジャー登録から受給資格発生。10年で最高額に到達。
- 受給対象には選手だけでなく、監督、コーチ、トレーナーなどのスタッフも含まれる。
監督やコーチ、トレーナーまでもらえるのは凄いですよね!
年金に加えて終身医療保険もゲットできる
メジャーリーグの福利厚生は手厚く、1日でもメジャー登録があれば終身医療保険をゲットできます。
アメリカでは日本のような国民健康保険がなく、質の良い医療を受けるためには自分で保険に加入する必要があります。
会社員だと福利厚生で付帯する場合もあります。
医療保険もバカにならない金額なので、終身医療保険が手に入るだけでもかなり美味しいですよね。
メジャーリーグ年金の受給資格は?
満額支給の資格を得るには、メジャーでの10年のプレイ(メジャー登録1,000日以上)が必要です。
「43日」は、1年のメジャー登録期間である172日を4分割で区切った「クォーター」が由来です。
172日÷4クォーター=43日。
1クォーターが43日で、10年の満額支給期間を40クォーターで区切るような考え方になっています。
もしメジャー登録が10年に満たない場合は、クォーター(43日区切り)ごとに計算されて支払われる仕組み。
メジャーリーグ年金の支給額は?
メジャーリーグ年金の最低支給額は34,000ドル(約408万円)と複数の英語メディアで報道されています。
ここからクォーターごとに上積みされていき、MLBで10年のプレイかつメジャー登録1,000日以上の場合に、最大23万ドル(約2,800万円)受け取ることができます。
月ごとの支給なので、黙ってても毎月233万円が振り込まれます!
もしシーズンフルでメジャー登録をされたと仮定すると、MLBでのプレイ年数に応じた年金額は以下のように計算されます。
- 9年:20.7万ドル(約2,484万円)
- 8年:18.4万ドル(約2,208万円)
- 7年:16.1万ドル(約1,932万円)
- 6年:13.8万ドル(約1,656万円)
- 5年:11.5万ドル(約1,380万円)
一般人から見ると大きな金額ですが、メジャーリーグで数年にわたって活躍する選手の年俸は「億」を超えることがほとんど。
現役中に稼ぐ年俸額が大きすぎて、年金の細かい金額を気にする選手はほとんどいないようです。
メジャーリーグ年金の財源は?
メジャーで9年プレイした長谷川滋利さんによると、メジャーリーグ年金の財源は、全メジャー契約の選手の年俸から5~10%天引きする形で積み立てられていたようです。
すべてのメジャー契約をしている選手の年俸から少しずつ集めます。今はレギュレーションが変わっているかもしれませんが、僕が現役だった頃は年俸の5-10%程度を払っていた記憶があります。払っていたというか、正確には積立金として既に差し引かれた残りがサラリーとして振り込まれていました。
Fridayより引用
現在は、オールスターゲームの収益やワールドシリーズの放映権の販売による収入も基金に積み立てられていて、財源の足しにしています。
歴代日本人メジャーリーガーで年金の満額受給資格がある選手は誰?
歴代の日本人メジャーリーガーで、メジャーリーグ年金の満額受給資格がある選手は5人。
名前 | 年数 | MLB在籍期間 |
---|---|---|
野茂英雄 | 12年 | 1995-2005, 2008 |
大家友和 | 10年 | 1999-2007, 2009 |
イチロー | 19年 | 2001-2019 |
松井秀喜 | 10年 | 2003-2012 |
ダルビッシュ有 | 12年目 | 2012- |
この中で特にすごいのは、バッシングを浴びながら渡米して黙々と結果を出し続け12年もメジャーで活躍した野茂投手と、マイナーから這い上がって10年メジャーでプレイした大家投手。
まさに「メジャーで頑張ったご褒美」と言えるのではないでしょうか?
惜しくも9年でMLBを去った選手は?
名前 | 年数 | MLB在籍期間 |
---|---|---|
長谷川滋利 | 9年 | 1997-2005 |
上原浩治 | 9年 | 2009-2017 |
田澤純一 | 9年 | 2009, 2011-2018 |
惜しくも10年に到達しなかったものの、9年でMLBを去ったのは上記3名。
日本球界を経ることなくメジャー挑戦した田澤選手は、マイナーから這い上がりメジャーで9年と、ほぼ満額受給資格をゲットすることができました。
今後10年に到達しそうな選手と言えば、ツインズ・前田健太投手。
今年で8年契約が終わりFAとなりますが、あと2年メジャー契約を得ることができればMLBプレイ年数が10年に到達し、年金の満額受給が可能になります。
新庄はメジャーリーグの年金をもらえるの?
「新庄はメジャーリーグの年金をもらえる?」という意見が多いので、解説します。
日本ハムファイターズの新庄監督もメジャーリーグの経験が3年ほどあり、メジャーリーグ年金の受給資格があります。
その場合の受給額は69,000ドル(約828万円)ほどと見られ、62歳以降食っていくには困らない金額がもらえる予定です。
メジャーリーグの年金制度について解説!日本人では誰が満額受給対象者?【まとめ】
この記事では、メジャーリーグの年金制度の仕組みについて解説、また日本人で満額支給できる選手は誰なのか紹介してきました。
MLBの年金はかなり手厚く、満額で毎年約2,800万円をもらえる内容になっています。
他にも1日メジャー登録されるだけで終身医療保険がもらえたりと、福利厚生が充実するMLBに憧れる選手が多いのも納得ですね。