プロ野球のニュースで必ず紹介される勝ち投手。
野球をあまり見ない人にとって、勝ち投手になる条件は意外と分かりづらいかもしれません。
そこでこの記事では、勝ち投手の権利を得る条件について紹介していきます。
【野球】勝ち投手とは?
勝ち投手とは、自チームがリードを奪った時に投げていた投手のことを指します。
勝ち投手になった回数を勝利数と呼び、昔から先発投手の評価指標として用いられています。
近年は投手分業制が発達してきており、先発で好投しても、降板後にリリーフ投手が打ち込まれて勝ち投手の権利が消えることも多々あります。
そのため、クオリティスタート(QS)などの違う指標で評価する向きも出てきています。
【野球】勝ち投手の権利を得るための条件とは?
勝ち投手の権利を得るための前提条件は「決勝点が入る直前のイニングを投げること」です。
この前提条件を満たした上で、さらに先発投手とリリーフ投手でそれぞれ満たすべき条件があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
前提条件:決勝点が入る直前のイニングを投げること
決勝点とは、試合を決定づける得点のことです。
「決勝点」というのがポイントで、一度リードを奪ったからと言ってそのまま勝ち投手になれるとは限りません。
一度リードを奪っても、その後同点に追いつかれたり逆転されたりすると勝ち投手の権利は消えます。
あくまで「試合を決する得点=決勝点」が入った直前のイニングを投げていた投手に勝ち投手が付きます。
先発投手が勝ち投手の権利を得る条件
先発投手の場合、5イニング以上投げることが条件となります。
例えば、先発投手が4回2/3を投げてリードしている状態で降板し、そのまま追いつかれることなく勝ったとしても、先発投手に勝ちは付きません。
勝利投手の権利を得るためには、必ず5回を投げ切る必要があります。
これにより、先発は最低でも5回を投げ切ることが一つの目安になっています。
例外規定として、降雨コールドなどで5回で試合が打ち切りになった場合、4イニングでも勝ちが付きます。
リリーフ投手が勝ち投手の権利を得る条件
先発が5回未満で降板した時や、終盤で逆転した時などにリリーフ投手に勝ち投手の権利が回ってくることがあります。
近年では「ブルペンデー」の採用で、その機会も増えました。
この中でも終盤で逆転した時は簡単で、「リリーフ登板中に決勝点が入り、1イニング以上抑えた投手」が勝利投手の権利を得ます。
問題はリードを保って状態で先発が5回未満で降板し、後のイニングをリリーフが抑えきって勝った場合です。
この時、リリーフ投手に勝ちが付く条件には、試合を通じたリリーフ投手の人数と投球内容が関わります。
- リリーフ投手が1人の場合:このリリーフ投手が勝利投手。
- リリーフ投手が複数の場合:投球回数が他の投手よりも1回でも上回っている投手。
リリーフ投手が1人の場合は容易です。
例えば、リードを保った状態で先発投手が3回で降板して、残り6回をリリーフ投手がロングリリーフで抑えた場合はそのリリーフ投手に勝ちが付きます。
元々先発投手でロングリリーフでスタンバイしていた場合などに発生します。
リードを保った状態で先発が降板した後、リリーフ投手が複数いた場合、勝ち投手の条件は少々複雑になります。
他のリリーフ投手と比較して1イニング以上多く投げた投手がいる場合は簡単で、その投手に勝ち投手が付きます。
もしリリーフ全員の投球イニング差が1回未満(1/3回、2/3回)の場合は、記録員の判断に委ねられます。
その時の判断基準は「いかに効果的な投球ができたか」です。
試合を左右するようなピンチを切り抜けたか、などで判断されます。
【まとめ】勝利投手の権利を得るための条件で大事なのは結局この2つ!
色々と細かいルールを解説しましたが、結局大事なのは「決勝点が入る直前のイニングを投げること」と「先発の場合は5回を投げ切ること」です。
先発が5回以上投げていて、勝っている状態で降板すれば勝ちが付きます。
0-0の7回表をリリーフが無失点で切り抜けて、7回裏に先制してそのまま勝てば、7回表を抑えたリリーフに勝ちが付きます。
この2点だけ知っていれば、勝利投手についての知識は十分です!
【野球】勝ち投手が意味ないと言われる理由は?
世間では、勝ち投手は意味ないという批判もあります。
なぜ批判されるのか、理由を解説していきます。
勝ち投手が意味ない理由①リリーフにとって価値が薄い
勝ち投手が意味ないという批判は一部正しく、特にリリーフ投手にとって勝ち投手はあまり価値がありません。
なぜなら、抑えた直後のイニングでたまたま打線が打って勝ち越してくれて、運良くその後の投手が抑えてくれることで勝ち投手になれるからです。
あまりにも運の要素が大きすぎますね。
リリーフにとっては勝ち投手よりも、リードを保つことで得られる「ホールド」や「セーブ」の方が価値が高い指標となります。
勝ち投手が意味ない理由②投手の真の価値が分からない
前述の通り、勝ち投手は運に左右されるところが多い指標です。
極論を言うと、9回9失点で完投しても味方打線が10点とれば勝ち投手です。
しかしながら、この場合1勝はつくものの防御率は9.00で他の指標も散々な結果になるはずです。
これらのことから、勝利数が投手の真の価値を表していないことは明らかで、他の指標も合わせて見る必要があります。
簡単なところでは防御率、WHIP、K/BBを見れば、その投手の大体の傾向や優秀さがつかめます。
勝ち投手が意味ない理由③リリーフ任せの勝ち投手もあり得る
先発投手が6回につかまり、1点差の状況でノーアウト満塁で降板。
1打逆転の場面で出てきたリリーフが1点も与えず完璧に抑えてリードを守った場合も、先発投手に勝ちが付きます。
この場合、リリーフのおかげで先発投手の権利を得ています。
「そこまで抑えたのは評価すべきだが、最後は運だった」という意見です。
こう見ると、やはり勝ち投手は運の要素が強いですね。
「勝ち投手は意味がある」という反論もある
一方で、先発投手にとって勝ち投手は重要な指標であることには変わりありません。
というのも、勝ち投手になるには、降板するまでリードを守り切る必要があります。
試合という観点から見ると、何点取られてもとにかく負けないことが大事なので、「投げている間はリードを守り切った」という点に関しては評価されるべきです。
【野球】負け投手はどう決まる?
負け投手の条件は、勝ち投手と比較して簡単です。
負け投手は「決勝点を献上した投手」に記録されます。
非常にシンプルです。
【プロ野球】優秀な投手の勝利数の目安は?
勝ち投手になった回数(=勝利数)は、先発投手の優秀さを測る指標として用いられます。
シーズン勝利数の目安がこちら。
勝利数 | 評価 |
---|---|
20 | 球界随一のエース |
15 | 各球団のエース |
10 | ローテーション投手として一人前 |
特に20勝投手はかなり達成難易度が高く、2013年に24勝をあげた田中将大投手以降出ていません。
【プロ野球】通算勝利数ランキング
ここでは日本プロ野球界および日本人メジャーリーガーのMLBにおける通算勝利数ランキングを紹介します。
【プロ野球】通算勝利数ランキング
勝利数 | 選手名 |
---|---|
400 | 金田正一 |
350 | 米田哲也 |
320 | 小山正明 |
317 | 鈴木啓示 |
310 | 別所毅彦 |
303 | スタルヒン |
284 | 山田久志 |
276 | 稲尾和久 |
254 | 梶本隆夫 |
251 | 東尾修 |
通算勝利数が200勝に達すると「名球会」に入会することができます。
【日本人メジャーリーガー】MLB通算勝利数ランキング
勝利数 | 選手名 |
---|---|
123 | 野茂英雄 |
95 | ダルビッシュ有* |
79 | 黒田博樹 |
78 | 田中将大 |
63 | 岩隈久志 |
59 | 前田健太* |
56 | 松坂大輔 |
51 | 大家友和 |
45 | 長谷川滋利 |
39 | 石井一久 |
【野球】勝ち投手は意味ない?勝ち投手の権利を得る条件について解説!【まとめ】
この記事では、勝ち投手の権利を得る条件について紹介しました。
勝ち投手とは、自チームがリードを奪った時に投げていた投手のことを指します。
勝ち投手の権利を得る条件で重要なのは、「決勝点が入る直前のイニングを投げること」と「先発の場合は5回を投げ切ること」です。